季節の花詩画集
白いモクレンの花びらで地球をつつんで赤子をあやすように少し揺らしたらほうら 春がやってきためぐりめぐる季節の約束を守るために大地を転がす神様の大きな手が見えたなら清らかな鈴を鳴らしてみなで愛を歌おう
喜びはあふれる金の氾濫です氷の悲哀に閉じ込められていた何千何万の金の鳥がいっせいに空に飛び立つようにわたしたちは進軍する光の波もうだれも止めることはできないきりきりとかじかんでいた歌が溶け出して世界を鐘のようにかき鳴らすわたしたちは春の進軍
目をとじて 耳をすましてわたしたちの ささやきが硬い空気の向こうでまどろんでいる春の耳をくすぐるのおしよせてくる予感の行く道を導いていくわたしたちは森のともしび小さな 赤いともしび
岩のように硬い冬の心をほほ笑みで解かしてゆくのがわたしたちの仕事ですわたしたちには 剣も盾もないあるのは ほほ笑みだけどんな雪風に拒絶されようともわたしたちは咲きます声なき声の春の 最初の一画を空に書くために
心配せずとも わたしたちは世界の秘密に深く加担しています星々がいつも空で泣いているのはわたしたちのことが忘れられないからですこの塵くずのような青い星の片隅の舞い落ちるともしびのようなその花のひそやかな吐息さえ逃さないほど星々はいつもわたした…
風が季節の鈴を鳴らしてわたしたちに秋の器をかぶせました日は少しずつ遠のいてひいてゆく波のように時が頬をなでてゆくのですわたしたちが恥じらうのは眠りにむかってゆく大地への秋の青年のまなざしがたいそう おやさしいため
森の中で 探してくださいあなたがかつて石の棺にとじこめた歌を歌う星の夢を私は森に解き放っておきました森の奥で 探してくださいそれが季節の風のとりことなって大地の深い眠りの中に溶けて消えてしまわないうちに
わたしたちはみなひとりひとりちがいます色も形も 笑い方も歌い方も透明な風の後ろで金の時計のネジを巻いているあの美しいお方がわたしたちをそう創ってくださり秋を 澄んだ紅の合唱で始めるようにとおっしゃいました
昔 世界中の幸福を切り砕きありもしない真珠を求めて死に絶えた貝殻を集めていた今 私の中で目覚めた太陽は金色の翼を広げて空に唄い出す天の下 天の下 天の下私が 私で あること!
虫取り網をもって風のようにかけていく少年の肩に青い朝顔の眼差しがついていった一日を子犬のように遊び倒して日が暮れてふと誰かに会いたくなったのはそのせいだということに少年はいつ気づくのだろうか
雨音に 耳を澄まして青空にはびっしりと蒼い文字で手紙が書いてある雨が降るとその文字が溶けだして私たちの所にささやきが届くの目を閉じて きいて永遠の過去から今日までずっと届いていた手紙を今度こそは 逃さないで
ひのひかり ひのひかり ひのひかりああ わたしたちはいつもうたっているの伝えたくて あなたに伝えたくて空と 大地がただ一種類の愛だけでできていることをひのひかり ひのひかり ひのひかり
薄紅のささやきが静けさに隠れて瞳の中に溶けてくるそして神経をたぐり血流をたぐり魂の耳元で語り始めるああ また出会えた生も死も 愛も哀しみもひととせの全てを乗り越えてまた あなたと出会えた